最後まで気を抜かない

A様邸の足場が月曜に取れたので、今日現場に来て確認をした。お客様に前もってご連絡し、ご主人に出来映えを確認して頂く時間を作ってもらったのだが、ひとつ痛いご指摘を頂いた。
月曜に足場を解体した時のこと。
私は立ち会ってなかったのだが、足場の解体・積み込みの仕方が乱雑だったらしい。
A様の指さされたインターロックの表面に無数の傷がある。
足場の角が当たったような痕。
塗装は気に入ってらっしゃると聞き、安心したものの、残念な印象を最後与えてしまった。

帰り、即、業者へ連絡し、厳重に注意を施す。



こうならない様に少し養生し、配慮すれば防げたこと。
大抵はするのが難しいことをしなくて怒られることはない。
少し考えて気を使えば出来ることが出来ない時に怒られる。
今までも足場の設置・解体で残念な印象を与えてしまったことがある。
確かに、新築とは違い植木鉢とか植物や花、備品、フェンスなどがあり、やりにくい部分があることは分かるが、最後形になって残る工事ではないだけに、その工事プロセスを非常に大事にしなければならない。
業者には胆に命じてもらいたいと思う。



それと、もう一つ。
これは私の確認が甘かったこと。
今回の外壁の貼り替えに際し、取り外しが必要だった換気扇フードが、あまりにも汚れていたので、そのまま付けるのが申し訳ないと思い、施主に相談なしに新しいのに自主的に交換をした。正直、新しいのに変えることだけで私の「気づき」は精一杯だった・・・。
問題は色。
アルミの色が白だったら良かったと言われてしまった。
盲点だった。
以前は新築でもフードの色を気にして特注までしてたのだが・・・。
最近はそのようなケースがなく、ほとんどノーマークだった。
工事中ここまでで終わり!と思わず、しつこく「まだ何か落ちは無いか??」と自問自答しなければならない。

ひとつひとつ、忘れずこの経験はここに刻んでおく。


リフォームかし担保責任保険 完了検査

今年から弊社はリフォームの全てでは無いですが、防水機能が重要となるような大きなリフォームに関しては、リフォーム専用に設けられた「リフォームかし担保責任保険」に加入することにしました。
大臣指定保険法人であるJIO(日本住宅保証検査機構)の検査を工事中および完了時に受け、合格することを条件に引渡し後何か問題があった際に各物件ごとに最大請負金額相当の保険金額が下りる様になります。

仮に倒産した場合でも、今まではお客さんは言うところがなく泣き寝入りしてところですが、免責10万円を除く補修費用や、仮住まい費用まで保険金で受取ることが出来ます。
代わりの業者が施工をするに十分な費用が確保される仕組みです。

最もそんなことにならない方がいいに決まってますが、実際にそれで困っている方も私は多く見てきましたので・・。

新築からリフォームをやって見て思いますが、例えば窓を取り替えるとか、古い外壁をはがして張り替える事の方が、新築よりずっと難易度が高いように思います。

なぜかというと、新築時には無い水道やエアコン配管や照明が建物にくっついていて、外壁が張りにくい。張りにくいから隙間などが出来やすい。窓は15年以上経過して新品の時とは違い劣化が進んでいて、新しい建材との接合部が馴染みにくく、気を使う。長期荷重による経年変化で開口部が変形していることもある。新築では直角で当たり前のところが直角でないことなど沢山あります。

解体しないと見えないところ(例えば構造体)が思わぬ劣化に見舞われている時があり、予定工事を見直す必要がある場合もある。
ただし、お客さんが住みながらなので、あまりにも長期に延期する場合は別の精神的苦痛も考えなければならない、など・・。様々に発生する障害を迅速に克服しながらも、適切な判断も強いられる。


そんな難易度の高い工事をたとえ自分の頭では分かってはいても、全てチェックできるでしょうか?
世の中には「きれいになった」ことをリフォームと勘違いして表向きだけ前より見違えた様にしていく同業者も多いように思います。実際、色々なパターンのリフォームを経験して、「きれいになった」ように見せるだけの工事だったら簡単に出来ることもわかりました。
建設業の認可を受けてない業者でも、リフォーム業者です、と言って手が付けられるのがこの500万以下の確認申請も要らないリフォームです。

何も知らなくても「きれいになった」ように誰でも出来てしまうのです。

でもそのような危うい工事の場合は、その時良くても数年すれば何か問題の出る可能性があります。
まさにこの種の規模と金額の工事は落とし穴的な工事だと思います。簡単では無い工事をこんなに簡単に誰でも手が付けられていいのか?と思います。

工事というものをやってて思うのが、この様に時間と天候など不確定な要素に左右される仕事が常にベストな状態でこなせるだろうか?という問題です。
人間なので、絶対に落ち度が無いとは言えません。

「瑕疵」というのはまさに「わざとやろうと思ってやった悪人の故意の工事」ではなく、「工事をする本人も気づかないがやってしまった(ミス)工事」で、引渡し時には気づけなかった部分に関する欠陥を指すのです。

完成後、何か問題が生じると、「良かれと思ってやったのに・・」とか「お客さんがこういうから(無理を承知で)こうやった」「悪気があってやったんではないから・・・」という言葉は我々業者からは良く聞かれる言葉です。
そしてこの言葉を吐けば何となく許されてきたような流れがあります。
でも、それで一番損をしてるのはお客さんです。

お客さんは直さねばなりません。
お金のかかる手直し工事に関わっている時間が業者にはありません。
このような悲劇にならない為にはまず瑕疵を減らすしかありません。そして、万が一、事故があった時には直す費用が担保されていることです。
今のところこの仕組みがお客さんの安心のために最も有効だと思います。



「工事当時者では無い第三者が現場をチェックするということ・・」
瑕疵を減らすのにこの検査は非常に有効な手段だと思い、私は多少プロセスが面倒ですが、出来るだけこの種の工事にはJIOを利用を考えます。

瑕疵対象の事故の際、JIOで保険金が下りる、ということよりも、私が意味を感じるのは、JIOの規定通りに工事をする必要があるということで、現場の職人まで緊張感が生まれることです。

実際、今日検査に来た検査員は女性でしたが、足場をスタスタと駆け回り、かなり綿密に仕上がりを見て行きました。
その姿を見て、私自身が「かくあるべき姿」を見せられた気がしました。

この相乗効果により、現場での「気づき」が多くなり、工事の品質が職人さんレベルまで向上することを期待します。
現場は工業製品と違い、ひとつとして同じ物がありません。
一度起きた問題と同じパターンの問題が起きるとは限らず、現場現場でケースバイケースの対応が必要になります。
ですので、いかに多くの問題にぶつかり、「気づき」「対応」していけるか?が大事に思います。

これからも現場で起きた問題をひとつひとつ拾い上げて、皆さんに公開していこうと思います。
そういう意味でJIOさんをうまく利用し、互いに技術を高めていくことはとても意義にあることに思います。


ここが、今日指摘された窓横のシーリング部分。
少し窓枠から剥離しているように見えます。
あと、リモコン配線の外壁貫通部分の穴。




シーリング屋を呼び、今日のうちに対処しました。
完了検査は合格です。


輸入外壁材 撤去後 調査


日進市で築17年輸入住宅の外壁全面貼り替えを行なってます。
他でも同じような状況で貼り替えをしましたが、当時貼られた輸入外壁材で、木を圧縮して作った製品で問題が生じています。撥水性の無くなった外壁材自体が水を含み腐っています。今年夏にこの家では外壁材の一部がとうとう脱落して落ちてきた為、緊急の連絡をもらい、応急手当をし、今回これを機に貼り替え工事をすることに・・・。

着工して2週間位経ちます。
1週間目は足場組み、設備移設等、2週間目は外壁撤去と調査、補修、防水紙貼り替えです。
写真は旧外壁を剥がしたところ。
この時点で下地がどのような状態かを点検します。
ところどころ、外壁から雨が侵入し、防水紙に雨滲みが出来ています。



既設外壁は現在指で押すだけで、ぐすっと指が外壁にめり込むような状況。一部は欠けて脱落しています。
指で触ると湿っているのが良くわかります。
ずっと湿っていると、ここからキノコが生えて来ます。
この輸入外壁は「キノコが生える外壁」と一時話題になったこともあります。当時は何ら建築的にもこれを阻むような制度はありませんでしたので、住宅会社によってはよく使っていたようです。



防水紙に雨滲みがあるところについては判断が二つに別れます。
防水紙の表面だけ水が流れ、水に逃げ道が確保されきちんと排水されていれば、合板への影響(腐朽菌の発生、構造強度)は少ないので、紙の貼り替えのみで済みますが、合板にまで水が滲みて長期間その状態が続くと合板、柱自体が腐り、強度が落ちてきます。この場合は問題があるので、一部木部補修を入れます。
次回は大工を入れ、建物全体をチェックした後、必要箇所を補修する段取りを組むことにしました。


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